風呂上がりは水分と活字が欲しくなる。台所でコップ一杯の水をゴクりとやって、本棚へ。さてさて。見るともなく本棚全体を見る。すると不思議と本に呼ばれて手が伸びる。バガボンド7巻、著:井上雄彦。
倒そうと力を込めるほどにこの体は硬くなり自由を失っていく。敵はいない。俺が対峙してるのは、いつの間にか俺自身?
『”我” あの日の柳生宗厳の剣にはそれしかなかった。相手に勝ってやろう、己の力を、強さを、存在を誇示したい、俺を見ろ』
『師は言われた。そんなことのために剣は、武はあるのかね?我々が命と見立てた剣は、そんな小さなものかね?』
定期的に確認したくなる言葉というのがある。「愛してるよ」とか「ありがとう」とか。そういう言葉を聞きたくなるのは、きっと「あなたはここに居てもいいんだよ」ということの確認のような気がする。自分は本当にこの世界に居ても良いものなのか。その肯定が案外難しい。だから自分の存在が揺らぎそうになると、他者を通してそういう言葉を確認したくなる。
『我が剣は天地とひとつ。故に剣は無くともよいのです』
天地とひとつ。この言葉を見ると、なぜか不思議と「愛してる」と言われたのと似たような気分になる。ふっと力が抜け、心が落ち着いて、生きる力が湧いてくる。あっ、わかった。たぶんこれは寝不足のせいだな。おやすみなさい。